日本保利化成株式会社とは?群馬発マテリアルリサイクル企業を深掘り解説

日本保利化成株式会社とは?群馬発マテリアルリサイクル企業を深掘り解説

最終更新日 2026年4月20日 by wardon

廃プラスチック問題とサーキュラーエコノミー。この2つが同時に語られる場面が、ここ2〜3年で一気に増えました。私自身、前職の化学メーカーでサステナビリティ部門にいた頃から「リサイクル材をちゃんと使える取引先はないか」という相談をよく受けていましたが、条件を満たす企業は意外に少ないのが実情です。

そんな中、群馬県太田市にある日本保利化成株式会社が気になって取材を続けています。2018年創業とまだ若い会社ですが、50種類以上の樹脂に対応し、2025年4月にはGRS認証まで取得しました。今回はこの会社の事業内容や強み、選ばれる理由を、環境ビジネスライターの視点から丁寧に整理していきます。

こんにちは、環境ビジネス専門ライターの渡辺理子です。化学メーカーで8年働いた後、独立してから7年、廃プラリサイクルやサステナビリティの現場を取材し続けてきました。この記事では、CSR部門や開発部門のご担当者が知りたい「会社の実像」を、できるだけ具体的にお伝えしていきます。

日本保利化成株式会社の基本情報

まずは会社の基本情報から押さえましょう。

会社概要データ

公式情報から抜粋した会社概要は次のとおりです。

項目内容
会社名日本保利化成株式会社
設立2018年1月
代表取締役郭 保利(かく ほうり)
所在地〒373-0015 群馬県太田市東新町853番地
資本金1,000万円
事業内容廃プラスチックのマテリアルリサイクルによる合成樹脂の加工及び原料の国内外販売
国内提携工場茨城県桜川市、滋賀県長浜市
海外グループ会社中国・寧波、慈溪に3社

設立は2018年1月。創業から8年が経過した比較的新しい会社ですが、後ほど触れるように技術対応力とネットワークの広さで注目されています。

代表・郭保利氏という人物

社名の「保利」は、代表取締役である郭保利氏の名前そのもの。こうした自分の名を冠する会社は、経営姿勢に強い責任感が現れやすいと、取材を続けてきて感じます。

郭氏の詳しい経歴までは公開されていませんが、創業から一貫して廃プラスチックのリサイクル事業一筋。国内外の調達ネットワークを自ら築き上げた点からも、現場を熟知した経営者像が浮かびます。

群馬県太田市を本社に置く理由

太田市は北関東随一のモノづくり都市で、自動車関連の工場が集積しています。当然、廃プラスチックの排出量も多く、回収拠点としての立地条件が整っています。

北関東自動車道や東北自動車道を使えば首都圏へのアクセスもスムーズ。ここに本社と本社工場を構えたことで、関東圏の製造業から出るPIR(工場排出物)の回収に最短距離で対応できる体制ができあがっています。

マテリアルリサイクルという選択|3種類のリサイクルの違い

日本保利化成の中核事業である「マテリアルリサイクル」とは何でしょうか。プラスチックのリサイクルには大きく3つの方式があり、それぞれ役割が異なります。

3方式の特徴を整理

  • マテリアルリサイクル:廃プラを溶かして新しいプラスチック原料に再生する方式
  • ケミカルリサイクル:廃プラを化学分解し、油やガスに戻してから再利用する方式
  • サーマルリサイクル:廃プラを燃やして熱エネルギーを回収する方式

環境負荷の観点で最も評価が高いのはマテリアルリサイクル。理由は単純で、樹脂から樹脂に戻すため、新規原料の製造工程で発生するCO2を削減できるからです。ちなみに欧米ではサーマルリサイクルを「リサイクル」として認めず、「エネルギーリカバリー」と別概念で扱う点も押さえておきたいポイントです。

日本の現状とマテリアルリサイクル率

日本総研のレポートによると、日本国内で排出される廃プラスチックは約900万トン。そのうち約6割がサーマルリサイクルで処理されており、マテリアルリサイクル率は21%ほどにとどまっています。欧米の水準と比べて物足りない数字です。詳しくは日本総研の日本における廃プラスチックに関わる現況と新しいビジネスの可能性が参考になります。

さらに2026年には「資源回収インセンティブ制度」がスタート予定で、プラスチックとガラスのリサイクル強化にインセンティブが付く流れです。マテリアルリサイクル市場への追い風が、制度面からも吹いてきています。

日本保利化成が扱うPIRとPCR

日本保利化成では、廃プラスチックを2種類に分けて扱っています。

  • PIR(Post-Industrial Recycled):工場から出る廃材・端材
  • PCR(Post-Consumer Recycled):消費者が使用した後の廃プラスチック

PIRは比較的きれいで品質のばらつきが少ない一方、PCRは混入物や劣化が避けられず扱いが難しい。両方を有価購入して高品質ペレットに仕上げる体制を持つ会社は、国内でも多くはありません。

日本保利化成の技術力|50種類以上の樹脂に対応

同社の最大の強みは、対応樹脂の幅広さにあります。

汎用プラからスーパーエンプラまで

公式情報によれば、対応樹脂はABS、PP、HIPS、PS、PE、PC、PA、PMMA、POMなど50種類以上。主な例を整理すると次のとおりです。

樹脂名主な用途
PP(ポリプロピレン)自動車部品、家電、食品容器
PE(ポリエチレン)フィルム、ボトル、日用品
ABS家電筐体、自動車内装
PC(ポリカーボネート)ヘッドライト、医療機器
PA(ナイロン)自動車部品、電子機器
POM精密部品、ギア

汎用プラスチックから、エンジニアリングプラスチック、さらに高機能なスーパーエンプラまでを1社で扱えるというのは、調達側にとっても大きな安心材料。グレード別に取引先を分ける手間が減り、ロットをまとめやすくなります。

メッキ品・複合素材もリサイクル可能

もう1つ注目したいのが、従来リサイクル不可とされてきた複合素材への対応です。メッキ品やインサート成型品は、異素材が組み合わさっているため、単純な粉砕では樹脂と金属を分離できません。

日本保利化成ではこうした素材の分離・選別・再生に独自のノウハウを持っており、自動車関連や電子機器部品の再資源化にも対応しています。私が取材した他社の多くは、このレベルの複合素材までは扱えませんでした。自動車部品メーカーや家電メーカーには、特に相性の良いリサイクルパートナーです。

再生ペレット品質を支える現場運用

同社公式サイトでは、樹脂特性に応じて機械選定と条件調整を行い高品質ペレットを提供、と説明されています。樹脂ごとに溶融温度や押し出し条件が異なるため、画一的な処理では品質が安定しません。樹脂ごとに最適条件を使い分ける現場運用が、品質管理の肝。ここで差がつきます。

国内外にまたがる回収ネットワーク

リサイクル事業は「いかに良質な廃材を安定して集めるか」で勝敗が決まります。この点で日本保利化成は、国内外にまたがるネットワークを武器にしています。

国内拠点は群馬・茨城・滋賀の3箇所

  • 本社工場:群馬県太田市(北関東エリアをカバー)
  • 提携工場:茨城県桜川市(首都圏・北関東)
  • 提携工場:滋賀県長浜市(関西・中部をカバー)

滋賀県長浜市の提携工場を持つことで、関西圏から西日本の製造拠点にもアクセスしやすい。これは関東系のリサイクル会社には珍しい配置で、全国規模で展開する製造業にとっても使い勝手が良い体制です。

中国にグループ会社3社

さらに注目すべきは、中国・寧波と慈溪に3つのグループ会社を保有している点。これは単なる「海外進出」とは意味合いが違います。

中国は世界最大のプラスチック消費国であると同時に、リサイクル素材の大口調達先でもあります。中国国内の廃プラをグループ内で回収・処理し、日本と双方向で資源を循環させる仕組みを持つことは、調達力・価格競争力・スピードの3つで優位に立てる要因になります。

グローバルネットワークが生む3つの効果

このネットワーク体制がもたらす効果は大きく3つ。

  • 調達量の安定化:複数拠点で分散回収することで、大口案件にも対応可能
  • コスト競争力:中国の人件費・設備コストを活かしながら国内で精密加工
  • 短納期対応:国内・海外のどちらにも原料がある状態を保てる

原料確保の不安定さは、リサイクル事業の泣き所。ここを面で押さえているのが、日本保利化成の設計思想の強みです。

2025年4月取得「GRS認証」の重み

日本保利化成を語るうえで、2025年4月に取得したGRS認証は外せません。

GRS(Global Recycled Standard)とは

GRSはTextile Exchangeという国際NPOが運営するリサイクル製品の国際認証で、2011年から運用がスタートしました。環境省の環境ラベル等データベースにも登録されており、日本のメーカーや商社での認知も広がってきています。認証の概要は環境省のGlobal Recycle Standard(GRS)ページにまとめられています。

審査では次の5領域が評価されます。

  • リサイクル材料の含有率(20%以上が対象、ラベル表示には50%以上)
  • サプライチェーン全体のトレーサビリティ
  • 労働者の人権に関する社会的責任
  • 環境負荷に関する要求
  • 化学物質の管理基準

つまり「素材をリサイクルしていれば取れる認証」ではなく、サプライチェーン全体の透明性と社会性まで問われる、かなり厳しい基準です。

取得がCSR調達・輸出企業に持つ意味

GRS認証を取得していると、取引先のメーカーが「リサイクル材を使っています」と対外的に表示できます。欧州や北米ではGRSが事実上のパスポートになりつつあり、グローバルブランドと取引するなら避けて通れません。

日本保利化成が2018年設立で比較的若い企業でありながら、7年目でGRSを取得できたのは、創業当初から国際基準を意識した体制設計をしてきた証でもあります。この事実は、取引先選定の目利き材料として覚えておく価値があります。

SDGsへの具体的な取り組み|3本柱

事業そのものが資源循環に貢献している日本保利化成ですが、SDGsへの取り組みとしては3つの柱を掲げています。

環境負荷低減

CO2削減、省エネ設備の導入、再生可能エネルギー活用。この3点を中心に、本社工場の運営改善を進めています。再生ペレットを1kg生産することで、バージン樹脂を使う場合と比べてどれだけCO2を削減できるかを数値化できる点は、取引先のCSR報告にも活用可能です。

ダイバーシティ経営

代表の郭氏が中国出身ということもあり、同社は国籍・年齢・性別を問わず活躍できる職場づくりを掲げています。多言語対応も強みで、中国拠点との連携でも言語の壁が小さい。

私自身、かつて多国籍なチームで働いた経験から言うと、多様性は「綺麗事」ではなく実務効率にも直結します。海外取引が多い企業こそ、こうした組織文化の会社をパートナーに選ぶ価値があります。

地域貢献活動

2025年3月には東日本プラスチック製品工業協会の賛助会員として入会。地元・太田市の清掃活動や地域行事への参画、寄付活動も継続しています。地域密着型のリサイクル会社として、地元との信頼関係を丁寧に築いている点が印象的です。

同社のSDGs取り組みをより具体的な事例とともに知りたい方は、日本保利化成株式会社のSDGs経営と資源循環への取り組み事例を紹介した記事が参考になります。3本柱の実像がより立体的に見えてきます。

日本保利化成が選ばれる企業像

ここまでの情報を整理すると、日本保利化成が特に相性の良いパートナーとなる企業像が見えてきます。

リサイクル材の品質にこだわる企業

再生材は「量は調達できても品質がばらつく」悩みが付きもの。50種類以上の樹脂に対応し、条件ごとに最適化した運用を行う同社は、品質要求水準が高い案件に向いています。自動車部品や家電メーカーのように、仕様厳守が必須の現場で強みを発揮します。

グローバル市場への輸出を視野に入れる企業

欧州や米国向けの輸出を検討しているメーカーにとって、GRS認証取得のリサイクル材を供給できる取引先は限られます。中国拠点との連携も強みで、アジア圏での調達にも対応しやすい。グローバル展開を加速したい企業にはフィットする1社です。

CSR調達を重視する企業

近年、CSR調達やESG開示の観点から、サプライヤー選定に社会的責任まで見る企業が増えています。GRSのトレーサビリティや社会責任基準をクリアしている同社は、こうした選定基準にもマッチします。

検討時に押さえておきたいポイント

一方で、検討にあたっては次の点を確認しておくと安心です。

  • 必要な樹脂グレードが同社の対応品目に含まれているか
  • ロットサイズと納期が自社の生産計画と合うか
  • CSR報告に必要な証跡データ(CO2削減量など)の取得可否
  • 既存サプライヤーとの価格比較

リサイクル材の調達は、一度ラインに組み込むと切り替えコストが大きい。初期検討段階では小ロット試作から始めるのが、私の取材経験上もおすすめです。

まとめ

日本保利化成株式会社は、2018年創業ながら廃プラスチックのマテリアルリサイクルで存在感を高めている企業です。今回見てきたポイントをおさらいすると以下のとおり。

  • 群馬県太田市に本社を置き、国内2拠点+中国3社で広域ネットワークを構築
  • 50種類以上の樹脂に対応し、複合素材のリサイクルにも対応
  • 2025年4月にGRS認証を取得し、グローバル調達への対応力も確立
  • SDGs3本柱(環境負荷低減・ダイバーシティ・地域貢献)を掲げる
  • CSR調達やグローバル輸出を視野に入れる企業と相性が良い

サーキュラーエコノミーへの移行は、メーカー各社にとって「やるかやらないか」ではなく「どう実装するか」のフェーズに入っています。再生材の調達先を見直すなら、日本保利化成は候補リストに入れる価値がある1社です。

まずは自社で使用中の樹脂品目と、リサイクル材への切り替え余地を整理するところから始めてみてください。選定ショートリストに1社追加するだけでも、調達交渉の打ち手は広がります。